2018年ふるさと納税振り返り/良識やモラルをルールにする総務省の怠慢!!

2018年のふるさと納税は、いわゆる「闇ふるさと納税」と呼ばれた週末限定のギフト券はインパクトが大きかったですね。

そして先日、この件に関してこんな記事が出ていたのを見て、色々思うところがありました。
みなさんどう思いますかね?

静岡県小山町の返礼品が賛否両論!?

ちょっと長いですが、このニュースの冒頭を引用します。

アマゾンギフト券などで「ふるさと納税」249億円! 総務相“苦言”の静岡・小山町に真意を聞いた

「非常に良識ある行動とは思えないと、はっきり申し上げたいと思います」
石田真敏総務大臣は11日、「ふるさと納税」の返礼品にアマゾンのギフト券などを使用した静岡県小山町を厳しく非難した。

ご存知の通り「ふるさと納税」は、応援したい地域に寄付することで、税金の一部が控除されて、返礼品ももらえる制度。

しかし自治体の“仁義なき返礼品競争”の様相となり、去年4月、総務省は「ふるさと納税の趣旨に反する」として、返礼品は原則地場産品にすることと、返礼率は3割以下に抑えるよう、全国の自治体に見直しを求めた。
2017年度のトップとなった大阪府泉佐野市は、地元以外の名産品や返礼率(寄付額と返礼品価格の割合)が45%の返礼品で人気を集め、一つの自治体として初めて100億円を超える135億円の寄付を集めたが、総務省のお達しなどについての見解を編集部で以前取材した。

こうした中、小山町は去年4月以降も返礼率が4割のクオカードなどを「週末に限定」して特定のサイトに掲載したり、やはり返礼率4割のアマゾンギフト券などを扱うなどして、去年4月から12月までに、なんと249億円の受入額となり、冒頭の総務相の発言となった。

静岡県の小山町については、私も何度も記事にしてきたのでよく知ってます。Amazonギフト券やJCBギフト券を返礼品として出品しており、特に秋ころは「週末限定出品」という挑戦的な(笑)施策を行っていましたね。

相当な額を集めたんだろうなとは思いましたが、まさかの「249億円」
すごい額なのは間違いないですが、ふるさと納税の寄付額としてどうなのかはピンと来ないでしょう。

2017年寄付額ランキングで比較する

ふるさと納税については、毎年、総額や自治体ランキングが発表されますが、それはかなり先となりますので2017年の結果を紹介します。

まとめられた記事がありました。
ふるさと納税、2017年度は総額3,653億円 – 最も寄付金を集めた自治体は?

ちなみにその2年前の2015年は、寄附総額1600億円程度。
2年で倍になっています。それだけふるさと納税というものが認知されてきたということです。

自治体別で見ると…

団体別に見ると、1位大阪府泉佐野市(135億3,300万円)、2位宮崎県都農町(79億1,500万円)、3位宮崎県都城市(74億7,400万円)、4位佐賀県みやき町(72億2,400万円)、5位佐賀県上峰町(66億7,200万円)。

以前から高還元率のアルコール飲料をたくさん扱っている大阪の泉佐野市がダントツでした。おそらく2018年も相当な額を集めているはず。
 →ストロングゼロは何と還元率60%!大阪府泉佐野市のふるさと納税返礼品まとめ

自治体別ランキングがあったので貼っておきます。

そして、この2017年ダントツ一位の泉佐野市の135億円を倍近く上回る寄附を、2018年に集めたのが静岡県小山町です。

249億円という数字がいかにすごいかわかるでしょう。

モラルや良識をルールにする、総務省の怠慢

話が逸れたので元に戻します。
冒頭で引用した記事にあった、石田真敏総務大臣の言う「良識ある行動」とは何か?

記事から引用します。

自治体の“仁義なき返礼品競争”の様相となり、去年4月、総務省は「ふるさと納税の趣旨に反する」として、返礼品は原則地場産品にすることと、返礼率は3割以下に抑えるよう、全国の自治体に見直しを求めた。

ほとんどの自治体は国に素直に従いました。
しかし法的効力は無いので、言うことを聞かない自治体が出てきます。当然、そういった自治体の返礼品は魅力的なものになり(当然ですよね)そこに寄附が集中する。

結果的に、素直に国の言うことを聞いた自治体がバカを見る形になりました。

もし本当にそのルールを徹底させたければ、法的効力でもって押さえておくべきです。ルールは罰則をつけて明文化すべきであり、モラルや良識を盾にして「ルールだから守れ」と言うのは、総務省の怠慢であると考えます。「法の抜け道」とよく言いますが、穴のあるルールを制定する側に非があるに決まっているじゃないですか。

わかりやすく言うと…
サッカーというスポーツにおいて、急に本部から「サッカーなのだから、やはりキーパーも手を使うべきではない。よって、今後は使わないようにして欲しい」と各チームに通知がいったようなものです。
しかし、それはルールブックには明示されておらず、試合中に手を使っても罰則はない。

本部に嫌われたくないチームは従うけど、どうしても勝ちたいチームは当然、手を使う。そして勝ち進んでいくでしょう。

おかしいと思いませんか?
そして後日「良識ある行動とは思えない!」と文句を言われるという…
馬鹿正直に従ったチームは、恨むなら相手チームではなく本部を恨むべきです。

2018年にふるさと納税で起きたのは、こんな理不尽なものでした。

その後、税制改正が閣議決定され「3割以下」「地場産品」という制限が、2019年6月以降はついてくるようになったという流れです。時間がかかるのだと思いますが、遅い!!

2019年6月が、ふるさと納税のターニングポイント

2018年のふるさと納税バブルを、私としては大賛成で興味深く見ていたのは、上記のような理由です。

地元の有名産品があるわけでもない状況。
しかし、決められたルールの中で創意工夫を重ね、いろんなアイデア・戦略の元に寄付金を集めた小山町
そう考えると、国からの要請を受けて素直に従うかどうかも、「戦略」の一つですよね。

何度も書きますが、いい加減なルール作りをしておいて後から穴が見つかったら「良識がない!」とか非難するのは、そっちの方が良識がないですよ。

ふるさと納税については、2019年6月が税制改正による大きなターニングポイントになるのは間違い無いでしょう。これらの自治体が、そこまでの期間・それ以降の期間にどういう動きをするのか、私も注目しています。

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